女子秀麗会
老舗旅館「柊家」で昼食会 「来者如帰」の心を大切に
初夏の光まぶしい6月10日、女子秀麗会(仁井ひろみ会長)主催の京都老舗旅館「柊家」昼食会に参加した。会員など20人が贅沢な時間を過ごした。私自身、外国のお客様のアテンドで玄関まで迎えには行っても、客室内部は知らず食事も初めてで、楽しみにしていた。
昼膳は月代わり献立の懐石料理。旬の鱧や鱸を使って丁寧に仕上げた品々、いさき柚庵焼、牛肉花山椒焼、賀茂茄子、稚鮎の天ぷらと、繊細で上品な味付けの料理が次々と出た。美しい器に彩りのよい一皿一皿を目と舌で味わった。最後は抹茶で締めくくり。
食後、数寄屋造りの旧館とモダンクラシックな新館を見学。小さな坪庭の緑がハッとするほど美しく、掛け軸のようなガラス窓からは四季折々の景観が見える。槙のお風呂、白木の調度、畳の香り......和の優雅さと美意識に酔いしれた。自然を愛し自然と共生する日本文化の粋と、おもてなしの心を感じた。旧館の川端康成が好んで宿泊したという部屋には風情があり、時が磨き上げた威厳があった。
この老舗旅館のすばらしさに実際に触れてみて、外国人のファンが多いこともよく理解できた。
下鴨神社内の比良木神社に由来する家号を持つ江戸末期創業の旅館を、伝統文化として後世に伝えたい、と六代目女将が語っていた。玄関に掲げた額「来者如帰」(我が家に帰ったようにくつろいでください)の心を大切に、今後も内外のお客様を魅了し続けてほしい。
食事と客室見学を堪能した参加者たちは、柊家をあとに三々五々、町家の通りへと流れて行った。(山本淑子)