陸友会
陸上競技部の黄金期を築いた名監督
故岸源左衛門先生を偲ぶ会を開催
5月9日、関西学生陸上競技選手権大会開催中の長居陸上競技場(ヤンマースタジアム)で、関西大学陸上競技部の名監督であられた故岸源左衛門先生の偲ぶ会を開催した。
先生は、昭和41年8月23日、長居競技場で部員たちを指導中に突然倒れられ、3か月後帰らぬ人となった。65歳だった。先生の訃報には、ただ唖然とするのみだった。先生には何一つお礼もできず、お返しもしなかったことを悔やんでいた。
そこで陸友会のみなさんに、先生を偲ぶ会開催の話を持ちかけたところ、賛同をえて追悼会を開く運びとなった。開催場所は、先生が関西学生陸上競技連盟副会長もしておられたので、関西学生陸上競技大会開催中に、長居陸上競技場正面玄関で行うことになった。
振り返ると、陸上兢技部の監督を永年に亘り務めていただいた岸先生だが、先生は名声、収入などを度外視し、ひたすら陸上競技部のために尽力いただいた。先生は、本学陸上競技部の生みの親と言っても過言ではないと思っている。また、先生の陸上競技に対する情熱は、計り知れないものであった。私たち陸上競技に関わった者は、先生の陸上競技についての考え方を、
岸陸上競技哲学と言っていた。先生は、母校陸上競技部先輩として、後輩たちの指導に尽くされた。その後輩たちの中には、ロス・オリンピック三段跳銅メダリストで、東京オリンピック選手団長を務められた昭和9年卒大島謙吉をはじめl0年卒藤枝昭英、12年卒小西秀夫、14年卒谷口睦夫、さらに日本学生陸上競技選手権大会において走り幅跳び、三段跳び、110mハードルの3種目に優勝した、30年卒園田裕四郎(3種目優勝者は織田幹夫氏と2人だけであ横枕美輝雄、平井勝一、32年卒中嶋明博など日本を代表する選手を育てられた。
先生は、昭和32年母校陸上競技部監督に就任、日本を代表して国際大会で活躍した33年卒清水省三、34年卒河野八郎、43年卒池田豊、ほか多数の後輩達を育て「関西の雄関大」と言われた陸上競技部を創りあげた。
また、先生は現役時代、極東陸上競技選手権大会(現アジア大会)日本代表選手として活躍され、学生陸上競技対抗戦でも数多く優勝されておられる。
余談になるが、日本陸上競技界で名声をとどろかされた、オリンピック金メダリスト織田幹夫・南部忠平の両氏も、先生には一目おかれているようだった。南部氏との親交は深く、「源さん」「忠さん」と呼び合う仲だった。
当日、長居競技場正面玄関で先生の遺影へ花束を捧げて黙祷をした後、近くの中華レストランへ席を移し偲ぶ会をおこなった。集まった子弟たちは、先生の遺影へ思いをこめて一人ひとり献花し献杯した。
その後10数人から、先生を偲び思い出の数々のエピソードが語られ、全員がそのトークに領き合いなが
ら青春時代へとフィードバックし、仲間意識も高まり和気藹々和やかな雰囲気で、素晴らしい偲ぶ会となった。
こうして、先生を偲び追悼会ができたことに、皆さん安堵し気持ちが安らいだ。先生が「お前たち頑張れ」と励まして下さっている気がした。
その後、再び競技場で現役を応援。嬉しいことに男子4×100mリレーでは40秒03で関大記録を更新し、55年ぶりの優勝。さらに男子200mで主将の安塚大(法4)が21秒13で10年ぶりの優勝を勝ち得た。その他多くの男女入賞が有り岸先生への良き報告となった。私たちは頑張ります。岸先生のご冥福をお祈りいたします。
(体育OB・OG会参与山田啓成)