関西大学経済人クラブ
第232回例会 梅田キャンパスで開催
11月29日に、関西大学梅田キャンパス8階ホールにて城戸礼子様の司会により開催。新入会員、ゲスト参加のほか、東京経済人倶楽部と中部経済人クラブからもリモートで参加いただきました。
学歌斉唱に始まり、永尾俊一会長より開会挨拶と、来賓を代表して芝井敬司理事長よりご挨拶をいただきました。また、関西大学校友会第11代会長の田中義信様より「弁護士として思い出に残る事件・校友会の意義と展望」というテーマで、迫力あるご講演をいただきました。
講演の主旨は以下の通りです。
■どういう気持ちで仕事をしているか
関大情報誌『Reed』の対談記事で、パナソニック株式会社特別顧問の大坪文雄様のお言葉から、日本の中小企業は創業の理念がしっかりしている企業が多く生き残っていることを例にあげ、建学の精神を忘れず、人間力を高める精神を持ち、長寿大学としてのビジョンを持つことを強く語られました。
自身の弁護士という仕事では、「悪い奴は眠らせない」をモットーに、あらゆる証拠を調べ、依頼者を裏切らない、友達を裏切らない、信念をもって仕事をすること、義を大切にし、悔いを残さない人生のために毎日を真剣に、全力投球で、感謝を忘れない気持ちを大切にして日々の仕事に取り組んでおられます。力強いお話は、会員の心に強く響いている様子でした。
■思い出に残る刑事事件
昭和63年1月の事件です。事件半年前、弁護することになる、当時銀行員で一家の主人である男性が不在の間に、不審な人物が侵入、奥さんが馬乗りになられ、下着を盗まれるなどの被害が何度もありました。
当時男性は警察に相談、自己防衛で護身するようアドバイスされたため、夜中に侵入してきた犯人を見つけ追いかけた際、バットで打撃。犯人が死亡する事件となりました。
刑法により3年以上の懲役、傷害致死罪が問われる事案でしたが、田中様は示談交渉をすすめるため遺族に面談、謝罪、心境に配慮した丁寧な説明を行い、結果、遺族の心に伝わり、処分を希望しない旨の示談書をとりました。その後、検事と何度も面談し説得のうえ、男性を起訴猶予に導かれました。当時6歳であった男性の息子は医者になり、今はドクターヘリで人命救助のお仕事をされているそうです。
■校友会の意義
18歳人口は年々減少しており、2030年から100万人を切る少子化を確実に迎えることに危機感を持つべきではないか、校友会の持つべき意義を熱く語られました。
そして、大学が選ばれる時代が来ていること、相当な危機感を持って臨む必要があることを訴えられました。日本の私立大学は、60歳以上の高齢者に学びの機会を与える生涯学習のほか、外国人留学生を呼び込むなどの対策をとっていますが、今こそ本質を考え、関西大学の隆盛は大学とともに校友会が物心両面で支え、地域支部・海外支部・職域団体含め約240の団体が親睦深め団結して問題解決をしていく重要性についてお話いただきました。
また、昭和54年の機関紙『関大』の記事から、文学部教授の飯田正一先生のお話をご紹介。戦時中、シンガポールは指令基地でしたが、関大ゆかりの人々で時折集会を行い、南十字星に向かい学歌をうたい、階級を問わず、職業地位をはなれて先輩・後輩楽しく、校友会の意義を感じる強いエピソードをご紹介いただきました。
飯田先生は「シンガポールに海外支部が作られるのはいつか」と、最後に締めくくられていましたが、2012年に大坪様のご尽力によってシンガポール支部が設立され、平成26年2月、田中様は前校友会会長の寺内様とともに、シンガポール支部訪問を実現されています。
■校友会将来の展望
地域支部のどこも若手校友が参加しないとの悩みを持っていると感じておられ、支部には気軽に若手を誘う会を持つことや、社会連携として区民祭りに参加すること、一歩すすんで社会貢献に向かってほしいと展望を述べられました。
また、日経新聞に掲載されたとある大学の校友会会長の記事をご紹介されました。ケニアで生理用品を買えない女性の貧困を見た女学生が布製の生理用品を配る社会貢献活動をしており、それを校友会が支援しているという内容です。
関西大学でも関西ボランティアセンターを2002年に設立、淀川や大和川の清掃活動、琵琶湖美化など、すでに活動がスタートしています。海外支部支援にも積極的で、海外交流促進特別委員会を11人で構成し、海外校友と意見交換を深め、12月1日にはアジア圏校友とミーティングをWEBで開催予定であることをご紹介いただきました。
さらに、財政基盤を整備するため、信託制度・寄付制度などが徐々に整えられてきていること、校友カードを校友会の支部会議や宴会で大いに使用するべきとの提言も述べられました。
来年は『大学昇格100年』に生きることの幸せを感じ、来年予定しているフェスティバルでは楽しい企画を用意。著名人や吉本興業とも提携し、地域の子どもたちを呼び込み、1万人の校友とそのファミリーを呼びたい構想を示され、校友会と経済人クラブの発展を祈念し講演を終えられました。
最後に、浅田美明様より謝辞をいただき、選ばれる時代、社会貢献を大切に一致団結する気持ちを共有して閉会となりました。
次回の例会は、2月7日に開催予定です。
今村聡(平18学経済)/(関大パンセ・寺本 06-6368-1054)