富田林支部
第20回歴史散歩の会 山の辺の道を歩く
コロナ禍で2年半中止していた歴史散歩の会を実施し、校友家族も含めて16人が参加。当日は秋晴で久しぶりの顔合わせとなった。今回は天理市周辺を歩いた。講師は、今回も鍋島隆宏氏(H5文・太子町学芸員)に依頼したが、自作の貴重な資料を使い、様々な遺跡を丁寧に解説していただいた。近鉄天理駅を出発後、最初の訪問地石上神宮へ。
石上神宮は旧官幤大社で祭神は布都御魂大神、崇神天皇のときの建立であり、武人の棟梁である物部氏の氏神である。異形の刀剣「七枝刀(国宝)」が収められていて、これに金象嵌の銘文がある。百済から倭王に贈られたもので、我が国の古代史上に重要な資料を提供している。次に内山永久寺跡の芭蕉句碑を訪れた。「うち山や とざましらずの 花ざかり」とあり、芭蕉が23~24歳くらいに詠んだものである。その後、「なら歴史芸術文化村(道の駅・今年3月開設)」で昼食、杣之内古墳群・及び東乗鞍古墳・西乗鞍古墳・小墓古墳の説明があった。
杣之内古墳群は天理市中央部東側の古墳群で、多くは古墳時代後期に属し、近くに石上神宮があり物部氏との関連性が想定されている。
東乗鞍古墳は全長75mの前方後円墳で古墳時代後期に属する。西乗鞍古墳は全長118mの前方後円墳で5世紀末ごろの築造と考えられている。小墓古墳は全長90mと想定される前方後円墳で、西乗鞍古墳に後続する年代とみられている。
最後に西山古墳・塚穴山古墳を訪れた。両古墳とも杣之内古墳群に含まれるものである。
西山古墳は全長190mの前方後方墳で、その上に前方後円墳を築造するという非常に珍しい古墳である。古墳時代前期後半の築造と考えられており、杣之内古墳群に占める位置は重要でこの時代の首長の墳墓と考えられている。
塚穴山古墳は直径60mの円墳で6世紀末から7世紀初頭の築造と考えられている。玄室・羨道の巨大な石組は、飛鳥の石舞台古墳に匹敵するものである。この後、JR天理駅で解散、本日の距離は7㎞余りであった。
(副支部長 秦純一)